双鈎填墨 [学び]
「ソーコーテンボク」と聞いてポカンとしていると、話を切り出した書の先生が
「双鈎填墨」と書いてくれた。手本の書の上に薄紙をのせて書の輪郭を毛一本まで
写し取るのが双鈎、写した輪郭の中を墨で埋めるのが填墨。習字で手本を写しとる
臨書の古来の方法という。
古典的なコピーではないかと思ったが、見透かしたように書家は「学ぶは、まねぶ、ま
ねることです。」と言い切った。悪いことのように思われているが、真似(まね)は文字
通り、「真に似ること」。優れた手本と区別がつかないほど徹底してまねることで、技量
も上達する。したがって、門弟にはまず個性を殺しまねに徹することを強いるという。
手本を写すだけと思われる臨書にも形を写し取る形臨、手本の心までを写す意臨、手
本を見ずに書く背臨の三段階がある。初めは個性の余地のない双鈎填墨などの手法
で、形をまねることに専念する。ところが意臨、背臨と進み、真に似てくるに従って、
逆に写しとっている自分、個性が浮き出し、創造の域に血被いてくるのだという。
横並び志向が批判され、個性を引き出す教育が模索されている。勢いまねは排除され
がちだが、同じレベルのまねではなく、優れたものをまねる教育は必要だろう。問題は
優れた手本が少なく、ひたすらまねる忍耐が薄れたことだ。「教育ママは勉強するママ
でなくてはいけないし、教育者もまた自ら学ぶ人でなければ」と書家が付け加えた。
日経新聞「春秋」より
津高進学ゼミ&SOLEILでは論語、名文の「素読」「朗読」「書写」を繰り返すことにより
子どもたちに人間力をつけていきたいと思っています。
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『根を養えば樹は自ら育つ』
私たち、塾人が第一にしなければならないことは子どもたちの根を養うことです。
そのためには私たち自身が日々真剣に学んでいかなければいけません。